特に所有者が不明の場合、管理費の滞納につながったり、立ち入っての修繕工事が難しくなったりする問題があります。
国土交通省が行う「マンション総合調査」によると、平成元年以前に完成したマンションでは5割以上のマンションに空室があるなど、完成年次が古いマンションほど空室があるマンションの割合が高くなる傾向がみられます。
空室の増加は、マンションにとって資産価値の低下へとつながります。なかでも特に問題となるのは、所有者不明などでそのまま放置されてしまう空き家です。管理会社と協力して、以下のような対策を検討しましょう。
対策1:入居者の情報を把握し、滞納対策を怠らない
所有者が不明の場合、管理費や修繕積立金の滞納が発生します。加えて、消防施設などの定期的な点検、入室が必要となる給排水管の更新などの修繕工事の対応が難しくなります。
このため、理事会としては入居者の情報を定期的に更新し、必要に応じて連絡が取れるようにしておくことが大切です。そして、管理費の滞納があった際に、まず管理会社を通じて連絡(督促)するなどの滞納対策を確実に行うことを厳守して、空き家を素早く発見できるようにしましょう。
対策2:法的な手続きなど、適切な対応方法を確認する
所有者が不明の場合以外にも「所有者の所在が不明なケース」や「マンションの所有者が亡くなり、相続人が相続を放棄したケース」、「相続人が登記をしないまま放置しているため相続人が不明なケース」などもあります。さまざまな場合に応じて、具体的に理事会として、どのようにするべきなのか、管理会社や専門家を交え、事例などを検討しておくと良いでしょう。
マンションに限らず、空き家に関する諸問題については、現在進行形で法整備等による対策が進められていますので、最新の情報も理事会で共有するようにすると良いでしょう。たとえば、相続人が不明な空き家等の発生を防ぐために、令和6年4月1日より「相続登記の申請が義務化」されることはご存知でしょうか? 相続登記がされていない不動産も義務化の対象になりますので、住民の皆さんに周知することを考えてみても良いかもしれません。
※参考リンク
(ハッピーアシスト通信 Vol.56掲載記事を元に最新情報を織り込み再編集)
(公開日)2023年9月24日