目的や活動内容、参加資格が異なります。また管理組合への参加は義務ですが、自治会への参加は任意です。
自治会・町内会は「地域の交流」を大きな目的としていて、その地域に居住する人たちが任意で参加するものです。一方の管理組合は、マンションの適切な管理を行うために、区分所有者全員で構成する組織になります。
ある程度の規模のマンションでは、マンションが一つの自治会となることも多く、この場合にはメンバーがほとんどが同じになるため、管理組合と自治会は「同じようなもの」と感じる方も多いでしょう。ただ、厳密には自治会への参加は任意であること、また組合員でも遠隔地にお住まいの方には参加資格がなく、賃借人は組合員ではなくても自治会参加資格がある、というように完全には一致しません。マンションが自治会のなかの班となっている場合は、周辺地域の班を合わせて町会・町内会というような自治会を構成するケースもあります。この場合には、地域とマンションの違いがはっきりするので、あまり迷うことはないかもしれません。
管理組合と自治会・町内会の違い
管理組合 | 自治会・町内会 | |
---|---|---|
目的 | 共有財産(マンション)の適正な管理運営 | 良好な地域コミュニティ形成 |
主な活動 | ◦建物・設備の管理運営 ◦入居者間のトラブル等の調整 |
◦防犯パトロール、公園清掃等の地域活動 ◦運動会や餅つき大会等のイベント運営 |
メンバー(資格) | 区分所有者全員(強制加入) | 地域住民(任意参加) |
法的根拠 | 区分所有法 | なし(地縁組織) |
いずれにせよ、自治会と管理組合にはその目的や参加資格に違いがありますので、特に理事の皆さまは組織的には別のものであることを意識するようにしましょう。とはいえ、あまり杓子定規にすると、事務作業が二度手間になるなどの問題もありますし、自治会の目的である良好なコミュニティの形成は管理組合にとっても重要事項です。管理組合の総会の後に続けて自治会の会合を開くように工夫しているケースもあるようです。近年、マンション入居者の高齢化にともない、マンションの適切な管理と効率化は大きな課題となっていることもあって、国の「マンション管理の適正化に関する指針」においては、以下のように、自治会費を管理費とあわせて徴収することも、適切に区別されていれば問題がないとされています。
マンションにおけるコミュニティ形成については、自治会及び町内会等(以下「自治会」という。)は、管理組合と異なり、各居住者が各自の判断で加入するものであることに留意するとともに、特に管理費の使途については、マンションの管理と自治会活動の範囲・相互関係を整理し、管理費と自治会費の徴収、支出を分けて適切に運用することが必要である。なお、このように適切な峻別や、代行徴収に係る負担の整理が行われるのであれば、自治会費の徴収を代行することや、防災や美化などのマンションの管理業務を自治会が行う活動と連携して行うことも差し支えない。
(国土交通省告示第1288号「マンションの管理の適正化に関する指針」より抜粋)
このように、組織としては異なるものではありますが、それぞれのマンションの事情に応じて、効率の良い方法を柔軟に考えてみてはいかがでしょうか。
(ハッピーアシスト通信 Vol.40掲載記事を元に最新情報を織り込み再編集)
(公開日)2023年8月20日