放置自転車の適切な処分・撤去について総会に提案しましょう。
駅前のマンションなどでは、住民以外が駐輪する不法駐輪の問題もあり、放置自転車とあわせてお悩みのマンションは多いです。スペースが足りない場合には駐輪場を広げることを検討しますが、まずは使われていない自転車(放置自転車)の処分を考えましょう。放置自転車といえども、所有者に断りなく処分することはできませんので、下に紹介するように、手順を踏んで、適切に処分を行います。
あわせて、そもそも放置自転車を発生させないための取り組み事例も参考にされてください。これらの取り組みには、いずれも総会での議決が必要となります。管理会社のフロント担当に相談してみましょう。
放置自転車の処分までの流れ
ステップ① 入居者の自転車かどうか確認します。
方法としては、専用の駐輪シールを貼ってもらうことが多いです。
ステップ② シールの貼られていない自転車に警告文を貼り付けます。
同時に、掲示板や回覧板、ポスティング等でも通知を行い、所有者からの連絡があれば引き取ってもらいます。
ステップ③ 警察に問い合わせがきていないか、盗難物ではないか確認します。
所有者の特定をできなかった自転車は、まず警察に届けて出て盗難物ではないかどうか等、照会します。盗難物の場合には警察が引き取ってくれます。所有者不明の自転車は「遺失物」として警察に届け出ます。
ステップ④ 一定期間後に処分する旨を告知します。
遺失物の届出と同時に、一定期間後に処分する旨の警告文を自転車に貼り付けます。法的には、3か月を経過しても所有者が現れなかった自転車の所有権は管理組合で取得できます(民法第240条)ので、組合の所有物として処分できます。
※各ステップにおいて、写真を撮影するなどして、処分にいたるまでに適切な手続きを踏んでいることを記録として残すようにしましょう。
放置自転車を発生させない取り組みの例
事例① 自転車シールを毎年更新
専用の駐輪シールは不法駐輪の防止に役立ちますが、シールが貼られたまま放置されることもあります。そこで、シールの色を変えるなど毎年更新するようにします。古いシールのままの自転車は所有者に引き取ってもらうなどの手続きをします。
事例② 駐輪場を有料にする
放置自転車の処分や管理には時間とお金がかかることですし、自転車を利用していない人との公平性や受益者負担の原則から、駐輪費用を徴収することで放置自転車の減少を図ります。方法としては駐輪シールを販売するケースが多いようです。
事例③ 定期的に不要な自転車を募る
管理組合で不要な自転車をまとめて処分する日を決めて、入居者から申し込んでもらう方法です。所有者からの依頼なので所有権侵害のおそれがありません。引き取り業者と交渉して、個人で行うよりも安い負担にできるとより効果的です。
事例④ ラック式の駐輪場に変更して、利用者登録制にする
駐車場と同様に、区画がはっきりするラック式の駐輪場を導入します。それぞれのラックを利用する人が明確になるように登録制にすることで、所有者不明の自転車が減少します。また、駐輪スペースを効率的に利用できるようになります。
事例⑤ シェアサイクル(共有自転車)の導入を検討する
マンション入居者が利用できる共有の自転車を導入することで、マンション全体で自転車の数を減らす取り組みです。近年のMaaS(マース:Mobility as a Service)推進の流れもあり、特に単身者や転勤者が多い賃貸マンションでは、レンタル手続が簡単なシェアサイクルを提供する企業と連携する事例も多くみられるようになってきました。分譲マンションにおいても、マンションの立地やライフスタイルに適している場合には、導入を検討してみてはいかがでしょうか。
(ハッピーアシスト通信 Vol.31掲載記事を元に最新情報を織り込み再編集)
(公開日)2023年11月20日