まず原因を特定し水漏れを止めることを優先します。その後、原因に応じた対応を行います。
雨漏りや水漏れは、マンションにおける代表的なトラブルの一つですが、その原因や状況によって対応方法が大きく異なるため、なかなか難しい問題です。とはいえ、水漏れを放置しておくわけにはいけませんから、まずは原因を特定し、必要に応じて修理工事を手配するなどの初期対応を理事会主導で行います。まずは、管理会社のフロント担当へ連絡してください。
その後の対応は、トラブルの原因が専有部分と共用部分のどちらにあるかによって分かれます。どちらともとれる場合や、配管が複雑で判断が難しい場合など、簡単には切り分けできないことも多いため、原因を十分に調べることが非常に重要です。以下に主だったケースについて紹介しますので参考にされてください。
- 雨漏りの場合
雨漏りは、原因の調査は必要ですが、マンションそのものに不具合があると考えられるため、管理組合において対応する必要があり、理事会が主体的に取り組む事案となります。 - 洗濯機や浴室などからの水漏れ
原因が個人の持ち物(洗濯機など)であったり、入居者自身の不手際によるものであった場合、下階への水漏れ等のトラブルは、基本的に当事者同士で解決してもらいます。原因の特定や双方への説明等において理事やフロント担当が間に入るなど、円滑に解決するために対応手順をマニュアル化している管理組合もあります。 - 給水管・排水管の水漏れ
水漏れが発生した管が共用部分に当たるのか、専有部分に当たるのかを特定します。共用部分の場合には❶同様に理事会主体で解決にあたります。専有部分であった場合には、❷同様、当事者間での解決が必要になりますが、なぜそのようになるのか、調査結果を含めて当事者が納得できるように、よく説明すべきでしょう。
また、規約等も含めて理事会が十分な確認作業を行う必要があります。
いずれの場合であっても早期発見により被害を小さくできますから、気になる水漏れを発見した場合、すぐに理事の方やフロント担当に問い合わせていただくように周知することも大切です。
また、普段から気をつけていても水漏れの加害者となってしまうこともあります。個人損害賠償保険の加入や、管理組合としてカバーされる保険の内容を周知することも検討してみてはいかがでしょうか。特に、原因調査費用については、調査結果にかかわらず管理組合で負担する仕組みになっていると、入居者の協力を得られやすく、迅速な対応が可能になります。
なお、❸の漏水事故の発生頻度が高い場合、給水管・配水管の修繕時期にさしかかっているとも考えられます。国の修繕計画作成ガイドラインによれば、給水管・配水管の修繕周期は30年と設定されていますので、これを目安にしつつ、原因を調査する専門家の意見を踏まえて、全体の「更新/更生工事」の検討も必要になりますから、水漏れの原因の特定のための調査は非常に重要です。
(ハッピーアシスト通信 Vol.37掲載記事を元に最新情報を織り込み再編集)
(公開日)2024年2月26日